平成27年地価公示発表2 [不動産鑑定]
前回に引き続き、平成27年の地価公示価格について見てゆきます。
土地総合情報ライブラリーによると東京圏及び大阪圏の住宅地の地価上昇率上位10位は以下のとおりです。少し見にくいですが、表をクリックすると拡大します。
東京圏ではやはり、トップは港区南麻布の高級住宅地、港-16が11.2%とかなり高い上昇率を示しました。また、都心への利便性に優れ、東京オリンピックの開催決定で、高層マンションの開発期待感から中央区佃にある中央-6も9.1%と高い上昇を示しています。昨年同様、東京圏の地価は、東京オリンピックを控え、今後も上昇してゆくのではないかと予測されます。
では、大阪圏のトップは神戸市灘区の灘-6が6.2%で、東京圏と比較するとやや地価の上昇は弱い感じがします。
ところが、全国的に見て大幅な上昇率を示しているのが、いわき市です。
いわき-51は17.1%になっています。
東京の地価と比べると、地価水準が低いので、上昇率だけでは、当該地区の景気回復が進んでいるとは一概には言えませんが、前年同様に高い上昇率を示したのは、この地区は3.11東日本大震災で被災によって、避難住民が移転してきたため、需要が急上昇したとものと思われます。
昨年も触れましたが、この地区は、大震災以前の土地需要は総じて弱い地区で、地価は下落傾向にあり、大震災が需要を押し上げたという側面はあります。
したがって、その需要が一巡したら、下落に転じる可能性があります。
北陸新幹線の開業で、一気に上昇したのが、金沢市広岡の商業地・金沢5-13で17.1%もの高い上昇率です。
それでは、東京圏、大阪圏の商業地はどうでしょうか?
東京圏では、銀座4丁目の中央5-22が14.2%とかなり高い上昇率となりました。この銀座地区は、上位10位のなかで、新宿区の新宿5-24と港5-10の2地点を除いて、8地点を占め、銀座地区は旺盛な需要が認められます。
大阪圏では、中央区宗右衛門町の大阪中央5-2が11.3%、中央区心斎橋筋の大阪中央5-23が10.7%など、中心的な商業地域の回復が目立っています。
このように利便性の高い住宅地や収益性の高い商業地の地価は総じて回復してきた感がありますが、人口が減少している都市などは、依然として下落傾向が続いており、二極化が進んでいる結果となりました。