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前橋市の土地の評価 [相続に強い不動産鑑定士]

 久しぶりのブログ更新です。

 昨年、前橋市の住宅地を評価いたしました。

 昔ながらの住宅地で、居住環境は比較的優れた住宅地域でしたが、問題は建築基準法上の道路に接道していないこと、規模が約2,500㎡もあることがわかりました。

 建築基準法上の道路と並行して河川があり、その河川に接して約3m近く低く対象不動産が所在している物件です。しかも、対象不動産の中央部には水路が流れています。

 いやはや、不動産鑑定士泣かせの物件であり、どのようにアプローチしてよいかはすぐには決められませんでした。

 熟慮の末、建築基準法の道路から、河川に橋を架け、専用通路として利用することより、住宅地としての利用が可能と判断しました。しかしながら、道路より約3mも低い為、完成後の住宅地の価格は、かなり割安となります。

 また、このような住宅地で売れるか、どうかわかりませんので、開発リスクの高い物件となります。

 以上のような物件の為、評価は相続路線価格や固定資産税の評価よりもかなり低い評価となりました。

 職業柄、不動産の価格が安くならないかなど相続関係のご相談をよくお受けいたしますが、本来、時価よりも相続路線価格の方が割安であるため、不動産鑑定評価額よりも路線価格で評価された方が節税につながることをお勧めしております。

 しかし、今回は、稀なケースで相続税の節税に寄与したものと思います。ブログ用.jpg

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無料相談会 [相続に強い不動産鑑定士]

 今年10月19日に横浜駅東口、横浜そごうとポルタの間の新都市ホールで一般社団法人神奈川県不動産鑑定士協会主催、国土交通省、横浜市後援の無料相談会が実施され、相談員として参加いたしました。

 相続、借地、売買、家賃など多岐にわたり、ご相談を受け、大盛況のうちに終了いたしました。

 特に今回、相続に関するご相談が多くありました。

 相続税改正により、今まで定額控除額が5,000万円+法定相続人×1,000万円までが非課税でしたが、今回の改正で、定額控除額が3,000万円、法定相続人×600万円となりました。

 この改正で、今後、相続税を支払う人がかなり多くなることが予想され、相続対策に関するご相談が多く寄せられました。

 相続対策による高層マンションの購入を検討されている方(時価と路線価格による開差が大きいため)や暦年贈与を検討されている方など様々でしたが、いずれにしろ、メリットとデメリット必ずあることをお伝えいたしました。

 最終的には、その方の判断にお任せするしかないのですが、それでもメリット、デメリットを知ったうえで、決断するとしないのでは大きな違いが出てくるのではないかと思います。

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こちらを向いていす方、当士協会の会長さんです。


伊東市の鑑定評価 [相続に強い不動産鑑定士]

 先日、伊東市の収益物件について、ご相談がありました。

 土地をご兄弟で持分で所有していることでしたが、その共有持ち分をある一人の方に贈与、または売買して、名義を変えたいとのことでしたが、このような場合、税務署は低廉譲渡にではないか、など目を光らせています。

 したがって、適正な価格で売買されたかを証明するものとして、鑑定評価がエビデンス(証明)としての役割を担います。

 また、贈与であっても、その基礎となる価格は、鑑定評価を基礎として申告すれば、税務署は適正である限り、否認されることはありません。

 そのようなことをお伝えしました。

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遺留分減殺請求 [相続に強い不動産鑑定士]

 先日、弁護士の先生から遺留分減殺請求のため、不動産鑑定評価の依頼がありました。

遺留分減殺請求とは、本来、被相続人が、生前所有していた財産については、遺言によって自由に処分することができますが、もし仮に、被相続人が遺言によって、だれか特定の相続人にすべての財産を相続させるとしたら、他の相続人は納得できるのでしょうか?

そこで、民法では、相続人には必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利が与えられています。それが遺留分減殺請求です。

法定相続分の1/2が最低限度として認められています。

例えば、子供4人に対して、法定相続分はそれぞれ1/4ですが、ある特定の相続人にすべての財産を相続させるとの遺言書があっても、遺留分減殺請求によって、他の相続人は法定相続分の1/2、つまり、1/4×1/2=1/8までは保障されることとなります。

今回の場合、土地が主とする相続財産であったので、その土地の価値が問題となりました。

その土地の価値によって、当然ながら相続財産の額も変わってまいります。

相続路線価格や固定資産税の評価額をベースに話し合われるケースも多々見られますが、今回は横浜市内の利便性の高い土地であったため、路線価格や固定資産税評価額よりも時価は高いのではないかということで、鑑定評価の依頼がありました。

実際、時価は路線価格や固定資産税評価額よりもかなり高い評価となりました。

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しかしながら、時価がいつも路線価格や固定資産税評価額よりも高いわけで割有りません。

地方などでは、買手が付かず、路線価格や固定資産税評価額よりも低いケースも見られます。

この場合、相続税申告の土地の低い価格の評価として、鑑定評価の依頼があります。


借地権について [相続に強い不動産鑑定士]

先日、横浜市内の借地権付建物の評価をいたしました。

 

建物はすでに40年以上経ているので、建物の経済価値はありませんが、借地権が存続するので、借地権価格があります。 

 

しかしながら、借地権価格は、通常基準とされといる財産評価書(いわゆる路線価格)と比較して、大幅に低下していることを改めて実感しました。

  

では、地主さんの底地(借地権の付着した土地の所有権)の割合が上がっているかといえば、そうではありません。

例えば、路線価では借地権と底地の割合が、6:4であっても、実際のマーケットでは、借地権割合も底地の割合も低下しています。

 

底地や借地権を買い取る不動産業者がいますが、業者の買い取り価格は、底地、借地権いずれも路線価の割合よりも相当低いのが通常です。

 

つまり、更地価格=底地+借地権にはならなず、 更地価格>底地+借地権となります。

唯一例外は、地主さんと借地人が共同して、これらの権利を同一人に売却する場合です。

 

この場合は、買主はその土地の所有権を得ることとなりますから、その土地を相場で購入する可能性があります。

 

それでは、なぜ、借地権割合が低下しているかというと、都心の一等地などを除いて、借地権の需要が少ないことに起因しています。

 

借地権価格とは、地代がその土地の経済価値に見合った地代よりも相当低く設定されていることによって、借地人の借得が発生し、この借得部分が借地権価格の発生の根拠となっています。

 

地主が土地を貸して、その借地人に借地権価格が発生し、売買の対象となる。

 

地主には地代を受け取る以外に何のメリットもない。(厳密には借地権の売買にあたっては、名義書換料、建物の建替え時には、建替え承諾料の授受はあります。)

普通に考えれば理不尽な話ですが、少し難しくなるかもしれませんが、借地権の価格が発生した経緯を見てみましょう。

 

明治42年建物保護法が成立しました。この法律は、建物を登記することにより借地権を第三者に対抗できるといいうものです。

 

土地は、地主さんのものですから土地を借地人が登記することはできません。

では、地主さんが変われば、借地人は建物を取り壊さなければいけないかというと、建物を登記することによって、新たな地主さんに対抗できる。

つまり、借地権が認められるということです。

 

次に大正10年に借地法が制定されました。

これは、借地権の最短期間(木造の場合20年)が保証されました。

これによって、借地権の財産的価値が認識されるようになったといわれています。

 

そして、昭和16年の借地法の改正です。

期間満了時、地主が更新を拒絶する場合、正当事由がなければ認められないということです。

その経済背景には、持てる者と持たらざる者との格差が大きいため、弱者救済の目的があったかと思います。

 

同じ年、羅災都市借地借家臨時措置法が制定されました。

この法律によって、借地権は次第に強化され、財産的価値がより強く認識されるようになりました。

 

その後、地価の高騰、都市部を中心とした住宅地不足、インフレの進行などによって、土地を新たに貸す場合、権利金の授受が慣行的に行われるようになりました。昭和35年以降には、まれに土地の賃貸が行われる場合、高額な権利金(借地権価格)の授受が行われ、また、名義書換料、契約期間の更新の場合には更新料の授受が行われるようになり、借地間価格の発生が当り前のように認識されてきました。

 

昭和41年の借地法の改正により借地非訟事件手続きが創設され、一定の制約や地主への反対給付があるにせよ、借地人はその借地権を処分する自由が認められ、契約条件を変更して、高層の建物に建て替えできるなど、その土地の経済価値に見合った土地の使用収益ができるようになりました。

 

土地の賃借は債権契約ですが、この改正によって、債権でありながら、物件的地位が認められるまでになりました。

 

このようにあまりにも借地人を保護する法律のため、逆に地主側が不利を被るケースが多く、法律の改正を求める意見が多く出ました。

 

そして、平成3年に新借地借家法が制定されました。

 

この新借地借家法は、新たに借地した場合、旧借地法では、期間が非堅固建物造(木造など)の場合、最低20年、堅固建物(鉄筋コンクリートなど)は30年、これ以下の期間を制定した場合は、非堅固建物で30年、堅固建物で60年が法定存続期間となります。

 

新法では、期間は、一律、30年となります。

また、更新は、1回目が20年、2回目以降は10年ごとの更新となります。

 

さらに、定期借地権なるものが制定され、期間は50年以上、更新はありません。

契約満了後は、原状回復して地主に返還するというものです。

これについては、まだ判例がないため、細部がどのようになっているかは不明です。

 

また、事業用借地権というものが設定され、期間は10年以上、20年以下となっており、期間の延長はありません。

 

このように法律の改正が行われ、ある意味で地主に有利な内容となりましたが、この法律は旧借地法に遡及しないこととなっています。

 

つまり、旧借地法で契約した案件については、適用しない。旧借地法がそのまま適用されることとなっています。

 

戦前は、住む場所のない人々を救済しようと地主さんが場所を提供し、わずかな地代でその土地に住まわせていたケースも多々ありますが、それが地主の権利を圧迫し、借地権の権利が価格として構成されるまでになりました。

 

しかしながら、社会的な流れとして、新借地借家法の浸透によって、旧借地権の権利意識を低下させる要因となっていることになっています。

このような状況から、借地権価格は、低下しています。

 

これは何を意味するかというと、戦前、戦前直後は住むところに困り、土地の需要が高まっていました。

 

持てる者は、土地を購入し、持てざる者は土地を借りて住まいを求めました。

 

希少性の高い土地は例外ですが、現在では、一般に土地の供給が増加し、あえて、借地を求めなくても所有権の土地が購入できるということです。

 

地主と借地人との間で、地代、更新料などのトラブルが多くみられ、双方、このような状況を敬遠することから借地権の需要が低下しているとみることもできます。

 

特に地方都市では、借地権という権利はあるが、価格が発生していないというケースもあります。

 

相続税の算出にも影響を及ぼしかねません。

借地権を相続した場合、相続路線価格から借地権割合を乗じた価格が借地権の相続税算定の基礎となっています。

 

路線価格は、市場価格よりも低い、だから路線価で方が節税の点で有利だ。

そう、お考えになるのは、もっともですが、冒頭に申しあげたように、借地権の取引価格は、非常に低下しています。

 

しかしながら、借地権が路線価格で算出した価格よりも低いと主張したとこれで、証明がなければ、税務署は認めてくれません。

 

不動産業者の査定価格では否認されるのがオチでしょう。

 

こんな時には不動産鑑定士の不動産鑑定書がお役に立ちます。

 

もちろん、市場が借地権価格の路線価格よりも高いと判断した場合には、不動産鑑定士の評価は意味ありません。

 

また、不動産鑑定士もこのような場合は、納税者に有利な価格は評価できません。

 

しかしながら、市場価格が、路線価格よりも低い場合は、不動産鑑定士は実地調査を行い、説得力のあるデータを明らかにして、鑑定評価します。

 

税務署はこれを否認する場合、反対の鑑定評価をする必要があると聞いています。

 

しかし、他の不動産鑑定士に依頼しても、同じ評価ならあえて否認することはないと思っています。

 

不動産鑑定士の鑑定評価書には、なんら強制権はありません。

 

つまり、鑑定評価額がどうであれ、売買は売主と買主が合意すれば事足りることですが、このように納税や、争いになった時には、不動産鑑定評価書がお役に立ちます。

 

 この記事に関し、または、それ以外でもご質問があれば、以下のメールアドレスか電話でお問い合わせください。

 有限会社 岡不動産鑑定事務所
 不動産鑑定士 岡 秀次
           ℡045-780-2841

Email:info@kantei-oka.com

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本当は苦情のメールの方が、私どもの今後の糧となるのですが。


相続税と不動産鑑定士の役割 [相続に強い不動産鑑定士]

今回は、相続税について考えてみましょう。

人の死亡によって、一定の相続財産を相続人が取得すると相続税が相続人に課せられます。
だからといって、相続財産のすべてに相続税が課税されるわけではありません。
基礎控除というのがあります。

この基礎控除は、5,000万円+(1,000万円×相続人の数)で計算されます。
例えば、お父さんを亡くし、配偶者と子供2人の場合、つまり、相続人が3人いる場合、基礎控除は以下のようになります。
基礎控除額 5,000万円+(1,000万円×3人)= 8,000万円
となります。

この場合、相続財産が8,000万円までの場合は、相続税は課税されません。
しかし、平成27年4月から相続税が変わりますので、平成26年3月以前と以降では相続税が課税される、されないの問題が生じる可能性があります。

平成27年4月以降の基礎控除額は同じ家族構成であっても、以下のとおりとなります。
基礎控除額 5,000万円+(600万円×3人)= 6,800万円

となり、相続財産がこの近辺にあると、改正前後で課税される場合と課税されない場合に分かれる可能性があります。

相続税の課税対象となる財産は、被相続人が相続開始の時において有していた土地、家屋、立木、事業(農業)用財産、有価証券、家庭用財産、貴金属、宝石、書画骨とう、電話加入権、預貯金、現金などの金銭に見積もることができる全ての財産です。
日本国内に所在するこれらの財産はもちろん、日本国外に所在するこれらの財産も相続税の課税の対象となります。

ただし、外国でその日本国外に所在する財産に対して相続税に相当する税金が課されている場合には外国税額控除が適用できる場合があります。

相続税の支払期限は、被相続人の死亡の日から10ヶ月以内となっています。
その期間内に相続人間で遺産財産の分割協議が整わない場合は、仮に分割案に基づいて納税します。期間が過ぎますと延滞税が加算されますので、一応、仮の納税をしておいたほうがよいでしょう。

では、相続財産の評価とはどのようなものでしょうか?

基本的には、預貯金など、相続人が死亡時点でその数字がはっきり分かるものは、その額が相続財産となります。

土地については、相続路線価が敷設されている場合は、その路線価格を基準として、評価します。

路線価格が敷設されていない場合は、倍率方式と言って、固定資産評価額の何倍かを決めた倍率表があり、これに基づいて評価します。

一般的には、実勢価格より割安ですので、この路線価格,
または倍率表に基づく価格で不動産を評価したほうが有利になります。

しかしながら、土地とは生き物であり、実勢価格がいつも路線価格よりは高いとは限りません。また、土地は個別性が高く、広大地やがけ地を含んでいるとか、形状が悪い、建替えができないなどの問題のある土地もあります。

国税庁の財産評価基準にそのような問題に対処できるようマニュアルがありますが、このマニュアルだけでは、不十分な場合もあります。

このような時は、不動産鑑定士がお役に立ちます。

実勢価格と比較して、路線価格価などを基礎とした評価では、割高になってしまうなどの場合、不動産鑑定士が現地を調査し、市場価格に基づいた鑑定書を作成いたします。

もちろん、不動産鑑定評価額は、実際の売買実例に基づき、その市場を的確に反映した価格ですので、説得力があります。

このようなケースの場合、不動産鑑定書が路線価格などに基づく評価よりも節税になる場合があります。

しかしながら、不動産鑑定評価額がいつでも路線価格などよりも低く(相続人に有利な価格)評価できるものではありません。

路線価格よりも実勢が低くければ、低く評価できますが、そうではない場合は路線価格のほうが有利です。

このあたりは、案件によって異なりますので、このようなことでお悩みである場合、是非、ご相談ください。

 有限会社 岡不動産鑑定事務所
 不動産鑑定士 岡 秀次
           ℡045-780-2841

ホームページ:http://kantei-oka.com/

Email:info@kantei-oka.com

遺産分割 [相続に強い不動産鑑定士]

親族間で話し合い、相続財産をどのように相続人に分割するかが決まると、遺産分割協議書を作成します。

例えば、配偶者(奥さん)と子供が2人いて、そのお父さんが亡くなった場合、その遺産は1/2が奥さんに、それぞれの子供に1/4(1/2×1/2)ずつ法定相続分があります。

もちろん、話し合いで合意ができれば、この割合は変更できます。

そして、遺産が不動産、預貯金がある場合、不動産は母親に、預貯金は子供2人に1/4(1/2×1/2)というように分割することを定めた遺産分割協議書を作成します。

しかしながら、話し合いがうまくいかない場合、特に不動産の価値をめぐって、不満や争いがある場合には、その不動産を公正、中立的な立場から評価する不動産鑑士の出番があります。

この場合、一方がある不動産鑑定士に依頼するよりも、双方が納得して依頼されるほうが望ましいのです。

しかしながら、双方が感情的になり、話し合いもできず、お互い相手の意見に聞く耳を持たない場合は、遺産分割が全く進まないこともあります。

つまり、遺産分割協議が相続人間で整わないということです。

このような場合、家庭裁判所に申し立てをします。

家庭裁判所は、まず、審判官が決めるのではなく、まずは、もう一度話し合いをしてくださいということになります。

この制度を「調停」と言い、審判官と調停委員から構成されるメンバーで、遺産分割が進まなくなった案件を双方から話を聞いて、解決できる糸口を探ります。

調停は話し合いの場ですから、双方が合意しないと成立しません。

双方が対立しているわけですから、申立人、または相手方の意見が100%通るということはまずありません。

つまり、双方が妥協する姿勢がないと解決できません。

したがって、調停が成立すると遺産分割は双方の妥協のもとに解決したけど、どちらが勝った、負けたというものではないので、お互い心のうちで納得いかないという気持ちを抱くものです。

しかし、調停委員は公正・中立的な立場で、どちらに有利になるような進め方はしませんので、このような解決が常であります。

調停が成立すると、審判官がその内容を双方に読み上げ、合意したら調停は成立します。

その内容を家庭裁判所が書面にして、双方に郵送します。

その書面で、相手の合意がなくても不動産の移転登記などができます。

しかし、残念ながら調停での話し合いがまとまらず、調停が不成立となった場合は、審判に移行します。

ここでは、審判官が双方の意見を聞き、法律の則って審判官が決定します。

その時、遺産に不動産が含まれる場合、不動産の鑑定評価を行います。

審判官は、その不動産鑑定評価書をもとに遺産分割の審判を下します。

依頼者は家庭裁判所ですが、鑑定にかかる費用は相続人は支払います。

私も約15年にわたって、ある家庭裁判所の調停委員を務めさせていただいていますが、いろいろな案件を経験いたしました。

双方、互いに有利な方向で話し合いを解決していこうとするのは、理解できますし、解決したいという意思がお互いにあれば、双方が妥協することによって、解決されるケースが多いです。

しかし、最初から感情的な争いに終始して、全く遺産分割を解決する意思がなければ、これはもうお手上げです。

この場合は、何回か調停をして、双方の意思が最初から何の変化もない場合は、調停は打ち切りとなります。

最近、特に顕著ですが、家庭裁判所も解決の糸口も見つからないのにだらだらと調停も進めることはしません。

調停不成立となり、審判になります。

一般に遺産が土地・建物、預貯金などがあり、特定の相続人がその建物に居住している場合、その相続人が、これらの不動産を取得したい希望があれば、他の相続人もそれで合意するケースがおおいです。

ただし、その不動産を取得する相続人は、その不動産の価値に見合うだけの価格から他の相続人の法定相続分(合意できれば法定相続分でなくてもOKです。)を代償金として支払います。

この場合、不動産鑑定評価書がお役に立ちます。

不動案業者が無料で行う、査定サービスもありますが、相手に対する説得力も違い、また、審判に移行しても、審判官の大きな判断材料となります。

代償金の額が、双方隔たりがあって、審判に移行する場合もありますが、何回も調停を続けると、だいたい双方が妥協し合い、調停が成立するケースが多いです。

また、居住しているある相続人がその不動産を取得したいにもかかわらず、他の相続人が反対し、審判に行ったとしても、余程の理由がない限り、居住している相続人がその不動産を取得する旨の審判がでます。

問題なのは、その居住している土地・建物以外に相続財産がなく、また、その相続人も代償金の支払い能力がない場合です。

結局、その遺産は、相続人すべてに権利があるわけですから、いくらある相続人が居住しているといっても、代償金の支払い能力がなければ、その相続人だけに土地を相続させることはできません。

このような時は、ほかの相続人に特別受益がない場合、その不動産を売却して、その売却額を相続人間で分割しなさいという審判が下ります。

少し冷酷なようですが、公正の観点からは妥当でしょう。


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 不動産鑑定士 岡 秀次
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相続とは? [相続に強い不動産鑑定士]

不動産鑑定士の役割の一つに相続財産の評価というものがあります。

相続に強い鑑定士として、その役割について、基礎からお話したいと思います。

まず、相続とは?
ということからお話しし、シリーズでお伝えいたします。

相続とは、ある人が死亡したとき、その人と一定の身分関係にある人が、その亡くなった人の財産を受け継ぐことを言います。

この一定の身分関係にある人とは、一般にお父さんが亡くなったら、その配偶者である奥さん、子供がその財産を相続します。

この場合、亡くなった人を被相続人、財産を受け継ぐ人を相続人と言います。

相続財産には、様々なものがあります。

例えば、預貯金、現金、宝石、不動産、自動車、絵画、有価証券(株式)などです。

そして、相続人同士が、話し合いにより、誰がその財産を相続するかを決めます。

親、兄弟間で何の問題もなく、その遺産を分割できれば、不動産鑑定士の出る幕はありません。

ただし、その遺産について争いがある場合、または、争いまでいかなけれど、はっきりしておきたい場合などには、不動産鑑定士の出番があります。

先ほど、相続財産の種類について申し上げましたが、預貯金、現金などはいくらなのか、数字がはっきりしていますので、大きな問題に発展することはありません。

しかし、不動産は売値と買値が大きく異なる場合もあり、誰の目にもこの不動産はいくらだということは言えません。

こんな時、エビデンスとして、不動産鑑定書がお役に立ちます。

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